一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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4.家具業界

通商産業省告示第五百五十五号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、家具業界における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
昭和六十二年十二月十六日
通商産業大臣 田村 元

家具業界における電子計算機の連携利用に関する指針

近年、住宅事情の変化、インテリア嗜好の変化等から家具の需要者ニーズの多様化、個性化が進んでおり、家具小売業者、卸売業者及び製造業者が安定した経営を維持していくためには、高度な情報処理システムの開発を積極的に進め、経営の合理化、市場ニーズへの対応を図る必要がある。
このため、家具業界においては、これまで日本優良家具販売協同組合、全国家具卸組合連合会などの団体を中心に総合的な情報処理システムの開発に取り組んできたところであり、今後この情報処理システムが構築されれば、需要者の多様な要求に即応し得る効果的供給体制が確立され、我が国家具業界の生産・販売活動の活性化に大いに寄与するものと期待されている。具体的には、全国家具卸組合連合会が中心となって、「家具統一伝票」の標準フォーマットが設定され、その普及・拡充が図られているほか、商品コードの共通化、メーカーコードの登録が開始されている。さらに、これらの動きを踏まえつつ、昭和五十七年から日本優良家具販売協同組合において、小売業者と卸売業者及び製造業者を結ぶ受発注情報交換システムの開発、商品取引に係るビジネスプロトコルの標準化、中小企業者における電子計算機の共同利用の普及促進、共同データベースシステムの開発等の活動が進められている。
しかし、情報処理システムの構築に当たっては、伝票フォーマット、商品コード等のビジネスプロトコルの標準化の拡大及び共同データベースの情報内容の充実、情報の収集・提供方法の高度化といった課題が残されている。
今後、これらの課題を克服しつつ、家具業界において連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を実現することは、家具業界全体の一層の高度化のための基盤を提供するとともに、需要者の様々なニーズに的確に対応できる体制を構築し、国民生活の基盤である住空間の質の高度化に資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、家具業界における電子計算機の効率的利用を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、小売業者が卸売業者及び製造業者と連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法及びその実施に当たって配慮すべき事項を示すものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

(一)取引伝票等各種帳票、データ交換フォーマット、メッセージフォーマット、そこに記載される項目コードなどのビジネスプロトコルの標準化等を踏まえて構築する「企業間オンライン方式」による受発注情報交換システム
(二)各事業所の顧客情報、販売・在庫情報等経営の合理化、効率化を図る上で必要な情報を処理するために共同開発されたソフトウェアの利用による経営情報処理システム
(三)需要者のニーズを迅速に把握し、適切な生産・在庫管理体制を確立し、業務の効率化を図るための共同データベースシステム

二 実施の方法

(一)ビジネスプロトコルの標準化

受発注情報交換システム、経営情報処理システム、共同データベースシステム等の構築に当たっては、日本優良家具販売協同組合を中心に次に掲げるビジネスプロトコルについて一層の標準化に努めること。また、既存の標準ビジネスプロトコルについては、その有効性につき業界内の合意形成を図るとともに、現行処理との整合性を配慮しつつ、普及、拡充に努めること。

  1. 売上伝票、請求明細書、仕入伝票、納品書、物品受領書等帳票類フォーマット
  2. 商品コード、仕入先コード、顧客コード、住所コード
    ただし、商品コードはJANコードを使用し、商品名については既存の業界標準分類と整合性を図ること
  3. 在庫、販売等データ交換フォーマット
  4. メッセージフォーマット

(二)通信プロトコルの標準化

日本優良家具販売協同組合が管理する電子計算機システムと小売業者と卸売業者及び製造者の端末機との接続に当たっては、当該情報システムの特徴を十分配慮し、適切な通信プロトコルを採用するよう努めること。

(三)受発注業務のオンライン化

小売業者と卸売業者及び製造業者間の受発注に当たっては、発注情報、受注情報、在庫情報等取り扱う情報について利用者のニーズを十分に把握し、相互を接続したオンライン方式による情報交換システムを構築することにより、各種取引業務の効率化及び省力化が図られるよう努めること。

(四)経営管理機能の充実

各企業の顧客情報、商品管理、売上入金処理、買掛・仕入管理、販売・在庫管理等独自の経営情報であって業界全体の総合的評価により経理・財務の合理化、業務の効率化を図る上で有益であるとされた情報について処理を行うためのソフトウェアを共同開発し、これを利用した経営情報処理システムを構築することにより、経営管理機能の充実に努めること。

(五)業界共同データベースの形成

需要者のニーズに迅速に対応し得る体制作りを目指しつつ、小売業者の販売体制の効率化、卸売業者・製造業者の商品開発等に有効な情報の収集、メンテナンスに要する負担の軽減を図るため、共同利用データベースシステムを構築する。
収集及び提供するデータは、次に掲げる情報等利用者のニーズに合った情報とし、必要に応じ、収集範囲の拡充、情報内容の充実を図ること。

  1. 卸売業者及び製造業者が持つ在庫等商品に関する情報
  2. 新商品、推奨商品等の受発注動向に関する情報
  3. 商品別に整理された売れ筋に関する情報

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)費用負担面での配慮

家具業界は、主として中小規模の事業者から構成されており、情報化への対応については各事業者の資金的能力、人的能力等から必ずしも進んでいる状況とは言えない。したがって日本優良家具販売協同組合はシステムの構築に当たって、費用負担が過大になることのないよう十分配慮すること。

(二)セキュリティの確保

受発注情報交換システム、経営情報処理システム及び共同データベースシステムの構築に当たっては、顧客情報等機密性の高いデータ処理に対するニーズも高く、システムダウンや不正介入に対する十分な対策が望まれる。これに対処するため、「電子計算機システム安全対策基準」を遵守した安全性、信頼性の高い電子計算機システムの設置や運用面での配慮等セキュリティの確保を図ること。

(三)プライバシーの保護

共同データベースの利用に際しては、情報の提供範囲、方法等について明確な合意基準を設け、プライバシーの保護に十分配慮すること。

(四)機器、システム間の相互運用性の確保

機器の導入に当たっては、相互運用性の面で混乱が生じないよう日本優良家具販売協同組合において相談窓口を作るなど体制の整備に努めること。また、企業間オンラインシステムの構築に当たっては、業界内各社はもとより、将来的には他業界とのオンライン化にも対応し得るようシステムの相互運用性を配慮しつつ、OSI(開放型システム間相互接続)の動きを踏まえた上で、ビジネスプロトコルの標準化に加え、その基盤となる通信プロトコルについても統一・標準化に努めること。

(五)共同開発

企業間ネットワーク、データベースの構築等電子計算機利用の高度化に当たっては、業界内及び関連業界間との連携を図り、日本優良家具販売協同組合が中心となって共同開発等により必要な関連技術の開発を合理的かつ効率的に行うよう努めること。