一般財団法人日本情報経済社会推進協会

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8.機械工具業界

通商産業省告示第百十一号
情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)第三条の二第一項の規定に基づき、機械工具業界における電子計算機の連携利用に関する指針を定めたので、次のとおり告示する。
平成二年三月二十二日
通商産業大臣 武藤 嘉文

機械工具業界における電子計算機の連携利用に関する指針

我が国機械工具業界は、これまで大手の製造業者及び卸売業者(以下「事業者」という。)を中心に効率的な生産管理又は販売管理を目的とした情報処理システムの開発及び導入に取り組んできた。その成果は、需要家の多様な要求に即応し得る効率的な供給体制となって、我が国機械工具業界の発展に大きく寄与したところである。
しかしながら、個別企業ごとに独自の企業間オンラインシステムの構築が進められているため、他方では、各システムの互換性の欠如により、取引相手側における複数の端末機の設置による重複投資、事務処理の複雑化等の問題も生じつつある。
こうした状況の下で、機械工具の製造業者団体及び卸売業者団体の傘下の主要企業が中心となって、各事業者の業務の効率化及び流通の合理化を図るため、製造業者と卸売業者との間及び卸売業者間を結ぶ高度化した共同利用型のオンライン情報交換システムの構築が進められているところである。
しかし、情報交換システムの構築に当たっては、ビジネスプロトコルの標準化の一層の推進、異なる情報処理システム間の相互接続性及び相互運用性の確保、当該システムに参加する事業者の拡大、商品コード、取引先コード等の各種データコードの登録・管理体制の整備等の課題が残されている。
今後、これらの課題を克服しつつ、事業者間で連携した電子計算機の効率的かつ高度な利用を実現することは、機械工具業界全体の一層の高度化のための基盤を提供するものであるとともに、我が国機械工具業界の健全な発展に資するものである。
この指針は、以上の認識に基づき、機械工具業界における電子計算機の一層の効率的利用を図るため、電子計算機利用高度化計画を勘案し、事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様、その実施の方法及びその実施に当たって配慮すべき事項を示すものである。

一 事業者が連携して行う電子計算機の利用の態様

取引伝票等の各種帳票のフォーマット、データ交換フォーマット及びこれらに記載される項目コード等のビジネスプロトコルの標準化等を踏まえて構築する企業間オンライン方式による事業者間の在庫照会、受発注等に係る情報交換システム

二 実施の方法

(一)ビジネスプロトコルの標準化

在庫照会、受発注等に係る情報交換システムの構築に当たっては、システム運営機関を中心に、次に掲げるビジネスプロトコルについて一層の標準化に努めること。また、既存の統一伝票については、当該システムとの整合性に配慮し、必要に応じ改良を加えるとともに、その有効性につき業界内の合意形成を図りつつ、その普及に努めること。

  1. 納品書、仕入伝票、物品受領書、請求明細書、売上伝票等の各種帳票のフォーマット
  2. 商品コード、取引先コード等の各種データコード
  3. 在庫照会、受発注、出荷、請求、販売実績照会等に係るデータ交換フォーマット

(二)伝送手順の標準化

情報交換システムの基盤となる伝送手順については、在庫照会、受発注等の業務処理に適した接続形態を可能とするため、当該システムの特徴に配慮した適切な伝送手順を設定し、その普及に努めること。

(三)コード管理体制の整備

当該システムにおいて用いる標準的な商品コード及び取引先コードについては、次の点に留意し、システム運営機関が中心となって登録、管理及び普及に努めること。

  1. 商品コードは、メーカーコード及び品名・寸法コードにより構成される機械工具業界標準商品コードを使用するものとすること。
  2. 取引先コードは、業界横断的な統一企業コードとの整合性に配慮したものとすること。

(四)在庫照会及び受発注業務のオンライン化

事業者間の在庫照会及び受発注に当たっては、在庫情報、価格情報、納期情報、発注情報、受注確認情報等取り扱う情報について利用者のニーズを十分に把握し、利用者相互を効率的に接続したオンライン伝送方式による情報交換システムを構築することにより、各種取引業務の効率化及び省力化が図られるよう努めること。

(五)交換情報の拡充

取引業務の一層の効率化を図るため、第二段階として受注残情報、請求・支払情報、販売実績情報等オンラインで交換する情報の種類を拡充し、情報交換システムの機能の充実に努めること。

三 実施に当たって配慮すべき事項

(一)中小企業への配慮

機械工具業界は、大規模事業者から小規模事業者まで様々な規模の事業者から構成されており、各事業者の情報化の水準、資金的能力、人的能力等にはかなりの差異がある。したがって、情報交換システムの構築に当たっては、中小企業者に過大な負担を与えることのないよう十分配慮すること。

(二)セキュリティの確保

情報交換システムのオンライン化及び当該システムへの参加者の拡大等により、システムダウンや不正介入等の危険にさらされる可能性とその影響の及ぶ範囲が増大するおそれがある。これらに対処するため、安全性及び信頼性の高い電子計算機システムの設置、運用面での配慮等セキュリティの確保に努めること。

(三)機器、システム間の相互運用性の確保

機器の導入に当たっては、相互運用性の面で混乱が生じないよう、システム運営機関において相談窓口を作る等体制の整備に努めること。また、情報交換システムの構築に当たっては、業界内各社はもとより、他業界の情報交換システムにも接続し得るよう、OSI(開放型システム間相互接続)を基本とした標準的な伝送手順の採用について継続的に検討を行い、機器、システム間の相互運用性の確保に努めること。

(四)共同開発

情報交換システムの構築等電子計算機利用の高度化に当たっては、システム運営機関が中心となって、業界内及び関連業界等との連携を図りつつ、共同開発等により必要な関連技術の開発を合理的かつ効率的に行うよう努めること。

(五)将来の機能拡大

業界内の受発注情報等の取引情報の交換にとどまることなく、将来的には、需要業界等とのオンライン情報交換等が業界関係者との十分な合意の下に実施できるよう努めること。