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2022.12.16

レポート

【コラム】準天頂衛星システムの今後

一般財団法人日本情報経済社会推進協会
電子情報利活用研究部 グループリーダ  松下 尚史

Society5.0の実現を目指すわが国において、宇宙システムは、地上システムと連携し、ビッグデータの重要な構成要素となる3次元測位データや地上のさまざまな状態を捉えるリモートセンシングデータを提供する上で、非常に重要な位置を占めています。また、災害大国と呼ばれるわが国では、地上の状況に左右されずに機能が継続するなど、広域な観測や通信が可能な宇宙システムのポテンシャルは高いと言えます。そうした中、自動走行等の実現や、地理空間情報が高度に活用される社会基盤の確立に向けて、高精度な位置情報を活用した宇宙利活用ビジネスの進展が期待されています。このような分野において高精度な衛星測位サービスを提供しているものが、準天頂衛星システム(QZSS: Quasi-Zenith Satellite System、愛称:みちびき)です。
みちびきは、現在4機体制で運用されており、衛星測位サービス、測位補強サービス(SLAS/CLAS)、メッセージサービス(災害・危機管理通報サービス/Q-ANPI)を提供しています。さらに、みちびきは、2023年度を目途に単独で位置情報の取得が可能になる7機体制の構築を、2024年度を目途に信号認証機能の正式運用開始を目指しています。
信号認証機能は、測位信号のなりすまし(スプーフィング)を防ぐことを目的に、測位信号に含まれる航法メッセージが本物であることを「電子署名」技術により証明するものです。信号認証機能が整備されることで、取得できる位置および時刻情報※1の“信頼性”が高まるため、さまざまなユースケースでの活用が見込まれています。

  • 1 みちびきなどの一般的な測位衛星は巨大な原子時計を搭載して航行しており、その時刻情報を信号として配信しています。
著者
JIPDEC 電子情報利活用研究部 グループリーダ  松下 尚史

青山学院大学法学部卒業後、不動産業界を経て、2018年より現職。経済産業省、内閣府、個人情報保護委員会の受託事業に従事するほか、G空間関係のウェビナーなどにもパネリストとして登壇。その他、アーバンデータチャレンジ実行委員。
実施業務:
自治体DXや自治体のオープンデータ利活用の推進
プライバシー保護・個人情報保護に関する調査
ID管理に関する海外動向調査
準天頂衛星システムの普及啓発活動 など

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